地方自治体がバックアップ!制度融資を受けるには

起業直後でもできる資金調達方法には、日本政策金融公庫が行う融資と地方自治体が保証協会・金融機関と連携して行う融資の2種類があります。前回、日本政策金融公庫の制度をご紹介しましたので、今回は、地方自治体・保証協会・金融機関が連携して行う「制度融資」をご紹介します。

※日本政策金融公庫の制度に関心のある方は、こちらのコラムをご覧ください。
【関連コラム】日本政策金融公庫から融資を受けるには

 

【目次】

1.制度融資とは

2.制度融資の特徴

3.申込から融資を受けるまでの流れ

4.制度融資に関する相談は税理士へ!

 


 

1.制度融資とは

地方自治体は金融機関・信用保証協会と連携して、その地域での創業を促進し、産業振興を目的とする融資制度を設けています。実施している地方自治体により制度の違いがありますが、主な役割は下記のとおりです。

(1)地方自治体
利息の補助や信用保証料の補助を行い、事業者の負担を軽減します。

(2)信用保証協会
事業者が借入金を返済できない状況が発生したときに、金融機関に対し保証をする役割を担っています。保証があることで、金融機関のリスクが減り、融資をしやすくなります。

(3)金融機関

事業者に対して融資を行います。

 

2.制度融資の特徴

制度融資のうち、起業直後で受けられる融資は「創業資金」です。制度の詳細は地方自治体により条件が異なります。一例として、税理士法人かけはしの近隣の市区町村である「武蔵野市」「三鷹市」を例にあげて特徴をご紹介していきます。

※借入条件は、このコラムの執筆時のものとなります。

 

(1)金利の優遇がある

市が借入金の利息を一部負担してくれることにより低金利です。

①武蔵野市

本人負担の利率0.3% (融資利率1.9%-市が補助する利率1.6%)

②三鷹市

本人負担の利率0.85%(融資利率1.975%-市が補助する利率1.125%)

 

(2)信用保証料の優遇がある

制度融資は信用保証協会の保証を前提としています。その際に「信用保証料」を信用保証協会に支払う必要があります。市は信用保証料についても補助を行い、事業者の負担を軽減します。

①武蔵野市

信用保証料の全額を補助

②三鷹市

信用保証料の半額を補助

 

(3)長期間の借入が可能

資金用途により違いはありますが、長期間での借入が可能です。

①武蔵野市

運転資金 5年以内
設備資金 7年以内
併用   5年以内
※元金返済開始月を最大6か月据え置き可

②三鷹市

7年以内
※元金返済開始月を最大12カ月据え置き可

 

(4)融資限度額

①武蔵野市

運転資金 上限500万円
設備資金 上限800万円
併用   上限800万円
※併用の場合でも、運転資金の上限は800万円のうち500万円まで

②三鷹市

運転資金  上限1,000万円
設備資金  上限1,000万円
併用    上限1,000万円

 

(5)連帯保証人

法人の場合、代表者が連帯保証人となりますが、第三者の保証人は必要ありません。

①武蔵野市

個人事業 不要(原則)
法人   代表者個人

②三鷹市

個人事業 不要(原則)
法人   代表者個人

 

(6)融資対象者の要件

例えば、次のようなものです。

①市内に住所(法人は本店所在地)がある。
②信用保証協会の保証対象となる事業を営む。
③税金等の滞納がない。
④これから創業する、または創業して1年未満。
⑤創業する事業が許認可や資格を必要とする場合、既に取得していること、または取得する見込みであること。
などです。

自治体により要件が異なりますので、制度を受けたい地方自治体のホームページなどをよく確認しましょう。

【融資対象者の例】武蔵野市ホームページ 武蔵野市融資あっせん制度

 

3.申込から融資を受けるまでの流れ

では、融資を受けるまでの流れを確認してみましょう。制度融資は、①地方自治体の審査 ②信用保証協会の審査 ③金融機関の審査 をクリアする必要があります。すべて完了までに2~3ヶ月要することもありますので、段取りよく進めていく必要があります。ここでは「武蔵野市」の例を確認してみましょう。

 

(1)市役所のあっせん申請のための書類を作成

主に作成する書類は、市所定の「融資あっせん申請書」「創業計画書」です。創業計画書には、①事業内容や創業動機②主な販売先・仕入先③創業時の投資計画とその調達方法や内容④収支計画 を記載します。そのほかに各種証明書類や自己資金の確認書類、設備資金を借りたい場合は見積書のコピーを用意します。

 

(2)市役所への申請手続

①個別相談(予約制)に申し込む

市役所へ申請するためには、事前にアドバイザーによる個別相談が必要です。アドバイザーは地域の金融機関が担当しており、申請書類の記入内容の確認とアドバイスを行ってくれます。
なお、アドバイザーに個別相談できる日程は市によって決められています。個別相談は通常数回必要になりますので、スケジュール管理が重要です。

②市役所への申請と承認書の受取り

アドバイザーのチェックが完了次第、市役所に申請書類一式を提出します。提出後、しばらくすると承認の連絡がきますので、市役所に承認書を受取りに行きます。なお、承認書の有効期限は3ヶ月ですので、期限が切れる前に取扱金融機関に融資の申込みをしましょう。

 

(3)金融機関へ融資の申込み

市役所から承認書を受け取ったら、制度融資を取扱っている金融機関に融資の申込みをします。必要書類は金融機関から改めて案内があります。
※融資を受けたい金融機関の口座が必要になります。口座の開設に時間がかかるケースが多いので、事前に口座の開設を行っておくとスムーズに手続きが進みます。

 

(4)信用保証協会へ保証の申込み

金融機関経由で信用保証協会へ保証の申込をします。「信用保証委託申込書」「創業計画書」などを提出します。必要書類は金融機関経由で案内されます。信用保証協会に対しても「創業計画書」を提出する必要がありますが、記載内容は市所定の創業計画書と似ています。

 

(5)信用保証協会との面談と保証結果の通知

保証の申込みをすると、金融機関経由で信用保証協会との面談がセッティングされます。原則は信用保証協会の支店で面談します。面談後しばらくすると、金融機関を経由して結果が通知されます。

 

(6)金融機関の審査と審査結果の通知

信用保証協会の保証が承諾されると、金融機関の審査が行われます。審査が通れば融資が確定します。確定後、金融機関の支店で借用書などの書類に記入押印をします。しばらくすると通帳に融資金額が振り込まれます。

 

(7)市役所に保証料補助の申請

融資実行後、信用保証決定額の通知書など必要書類を市役所に送付します。しばらくすると通帳に市から信用保証料の補助が振り込まれます。

 

【関連リンク】武蔵野市ホームページ 武蔵野市融資あっせん制度 各制度の詳細 創業資金のご案内

 

4.制度融資に関する相談は税理士へ!

今回は制度融資についてご紹介しました。制度融資は、低金利かつ信用保証料の補助があり魅力的な制度です。その反面、提出書類が多く、複数の審査があり準備が大変です。制度融資は自分で申し込みを行うことも可能ですが、税理士に依頼した場合に多くのメリットがあります。

 

(1)手続きをスムーズに進められる

融資を受けるまでには、書類の収集と内容の記載、事業計画の検討・作成、審査担当者との面談など、たくさんの手順があります。市役所、信用保証協会、金融機関でそれぞれ対応が必要です。書類を揃えるだけでも大変です。起業のための他の準備を進めながら、融資の手続きを自分だけで進めるのは骨の折れることです。税理士に依頼すれば、書類の不足や記載漏れを防ぐことができ、手続きを負担なくスムーズに進めることが可能です。

 

(2)審査に通る可能性が高くなる

事業計画書の作成にあたっては、押さえておくべきポイントがいくつかあります。税理士に依頼すれば、ポイントを踏まえた書類作成を行いますので、融資が実行される可能性が高くなります。

 

★資金調達でお困りの方、資金調達に関してご相談されたい方は、税理士法人かけはし までお気軽にお問い合わせください。

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