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相続税申告等に必須!戸籍謄本の仕組み、取得方法・調べ方、法定相続情報一覧図の仕組みをご紹介

相続税申告、相続登記、金融機関等の解約手続きでは、相続人が誰であるか調べる必要があります。これを「相続人の確定」と言います。相続人の確定のためには、亡くなった人の「生まれてから亡くなるまでの連続した戸籍謄本」を集めることが必要です。今回は、「相続人の確定」についてご説明していきます。

 

1.相続人の確定が必要な主な手続

手続き 相続人を確定しないと困ること
遺産分割協議 遺産分割を話し合う人が分からない。
相続税申告 税金が計算できない。
不動産の相続登記 登記ができない。
金融機関口座、証券口座の解約 口座の解約ができない。

★ このように、相続人を確定しないと、何も手続きが進みません。

 

2.相続人とは?

 「相続人」という言葉を一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。相続人とは、被相続人(亡くなった人)の財産を承継(相続)する人をいいます。誰が相続人になるかは、民法によって定められています。(前の順位の人が相続人になれば、次の順位の人は相続人になりません。)

  • 常に相続人:被相続人の配偶者
  • 第1順位:被相続人の子(養子を含む・子が先に亡くなっている場合は孫など)
  • 第2順位:被相続人の父母(父母が先に亡くなっている場合は祖父母)
  • 第3順位:被相続人の兄弟姉妹(兄弟姉妹が先に亡くなっている場合は甥・姪)

 

3.戸籍謄本とは?

上記2でご説明したように、亡くなった人の財産を承継するのは相続人なのですが、その相続人をどうやって調べるのでしょうか。そのために必要になるのが「戸籍謄本」です。

 

① 戸籍謄本に記載されている事項

「本籍」、「戸籍の筆頭者の氏名」、戸籍に記載されている人全員の、「氏名」、「生年月日」、「父母の氏名と続柄」とそれぞれの人に関する「出生事項」「婚姻事項」などの身分事項が記載されています。

 

② 戸籍謄本に記載されている家族の単位

現在の戸籍は、一組の夫婦とその子供、親と子供という単位でつくられています。子供が婚姻すると親の戸籍から除かれて、その子供夫婦の戸籍が新たにつくられます。

 

③ 戸籍謄本が作り変えられる例(上記②の婚姻以外)

転籍(本籍地の変更)、法律改正などでもつくり変えられます。

 

★ 上記②、③のように、婚姻や法改正により新しい戸籍が作られるため、出生から亡くなるまでの連続した戸籍謄本を確認するためには、過去に作り変えられたものも含めて、戸籍謄本を取得する必要があります。

 

4.戸籍の取得方法

実際の取得の手順は、死亡事項が記載されている一番新しい戸籍から古い戸籍にさかのぼっていくことになります。実際に戸籍謄本を取得する方法は下記の通りです。

① 本籍地の市町村役場に申請する。

戸籍謄本の請求先は、亡くなった人の「本籍地」のある市町村役場の窓口になります。実際に住んでいた市町村と同じとは限りませんので注意が必要です。本籍地がわからない場合は、亡くなった人の住民票(除票)を「本籍地を記載」で取得すればわかります。市町村役場が遠隔地であるなど、実際に窓口へ行けない場合は、郵送で取り寄せることもできます。郵送の場合、「定額小為替」を手数料として申請書に同封します。
なお、同封した定額小為替が、取得したい戸籍謄本の枚数に足りない場合は、不足分を追加で送る必要があります。直接窓口で請求する場合に比べて時間がかかるケースがありますので、時間に余裕をもって申請することをお勧めします。

 

② 取得した戸籍謄本を確認する。

取得した戸籍謄本には、一つ前の本籍と筆頭者氏名が書かれています。それをもとに、戸籍謄本を順番にたどっていきます。最終的に、戸籍謄本の作成日が亡くなった人の出生日よりも古くなった戸籍を取得できれば完了です。
最近の戸籍謄本は、コンピュータ化されており読みやすいのですが、古いものはすべて手書きで記載されており、読み解くのが難しいものも少なくありません。
読み解けない場合、市町村役場の窓口職員に見せて確認することもできます。戸籍謄本を取得できたら、上記2の相続人の順位を踏まえたうえで確認していきます。その際に家族が知らない情報がでてくることがあります。

  • 被相続人には、認知した子供がいた。
  • 再婚で、前の配偶者の間に子供がいた。
  • 知らないうちに養子縁組をしていた。など

このようなケースは、頻繁にあることではありませんが、可能性が全くないとは限らないので、戸籍謄本を調査するという手順が必要となっています。

 

5.法定相続情報一覧図を活用しよう

取得した戸籍謄本を使って、法定相続情報一覧図を取得すれば、次のような相続手続きに通常必要な戸籍謄本一式の提出省略ができます。

  1. 相続登記
  2. 被相続人名義の預金の払い戻し
  3. 株等の有価証券の名義変更
  4. 相続税の申告

法定相続情報一覧図とは、平成29年5月29日からスタートした、法定相続人が誰であるのかを、法務局の登記官が証明してくれる制度です。
相続人が法務局に必要書類(戸籍謄本など)と自分で作成した法定相続情報一覧図(家系図のようなもの)を提出すると、登記官が内容を確認した上で、法定相続情報一覧図を法務局に保管します。相続人の申し出に応じて法定相続情報一覧図の写しが交付される仕組みです。
従来は、法務局、金融機関、税務署等といった手続先に対し、戸籍謄本の束を提出しては返却してもらい、また次の手続先へ提出するということを繰り返すケースがありました。亡くなった方が金融機関の口座をたくさんもっていた場合は、手続きだけで平日に何回も窓口に行く必要があります。また、手続先によっては、戸籍謄本の原本を回収されるケースもあり、戸籍謄本を複数取得することになり、発行手数料がかさむことがあります。
法定相続情報一覧図を申請しておくと、戸籍謄本の取得数を削減できる、法務局が相続人をチェックしてくれる、金融機関等への提出ミス(戸籍謄本が足りなくて出直す)がなくなるというメリットがあります。法務局の発行費用は無料ですので活用することをお勧めします。

 

弊社では、相続税申告を検討している方へのサポートとして、戸籍謄本の代理取得等、法定相続情報一覧図の代理作成を、関連する他の士業(司法書士など)と連携して行っていますので、安心してご相談ください。

 

※関連法令

民法887(子及びその代襲者等の相続権)
民法889(直系尊属及び兄弟姉妹の相続権)
民法890(配偶者の相続権)
民法907①(遺産の分割の協議又は審判等)
戸籍法9、13、16①②
不動産登記規則37の3(添付情報の省略等)
不動産登記規則247(法定相続情報一覧図)
不動産登記規則附則(平成29年4月17日法務省令第20号)
相続税法27④(相続税の申告書)
相続税法施行規則16③一ロ(相続税の申告書に添付する明細書の記載事項等)
相続税法施行規則附則(平成30年3月31日財務省令第15号)1、3①